■「マクロビオティック」とは

玄米に興味を持った皆さんなら、「マクロビオティック」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。
マクロビオティック」とは、伝統的な日本食に基づいた、玄米菜食を中心に、東洋の精神を生かして幸せに生きるためのライフスタイルです。
横文字ですが、でも、考えたのは日本人の、桜沢如一という方です。

ギリシャ語の「大きな」=マクロ「生命」=ビオス、が元になった言葉で、
大きな生命、すべては、生命を大きな目線で見る見方、というような意味になります。

そして、その本質は、「自然のながれに逆らわない、本来の人間の生き方の提案」といったところでしょうか。

本当に人間に合った食物を食べることで、人は、自然の流れにのっかって生きられるようになるようです。

この「マクロビオティック」実践者の中には、

体重が無理せずするするっと落ちて、簡単に維持できる。
肌がきれいになる。風邪をひきにくくなる。
体調が良くなって、朝すっきりと目覚められる。
ストレスが少なくなり、人生の色んな局面で、落ち着いて決断できる。
自分のまわりの環境と調和できる。
理想の自分に近づいていく。

といった体験をされている方が多くいらっしゃいます。


■マクロビオティックの2つの基本

まず、マクロビオティックの基本の考え方はふたつ。

ひとつめは、「一物全体」と言って、食べ物は、あるがままに、丸ごと食べるようにする。たとえば、穀物なら精米しない玄米。野菜は皮も葉も根も全体を、アクもとらない。(もちろん、たまねぎやサトイモなど、ちょっとムリそうなものはむきましょう)

そして、あるがままに育った、農薬や化学肥料をできるだけ使わない野菜にする。
なるべく食品添加物や、遺伝子組み換え食品などはやめて、調味料も自然なものを選ぶ。飲用したり調理をする水も大事。浄水器を使ったり、ミネラルウォーターを選ぶ。

ふたつめは、「身土不二」と言って、人間も植物も全て生まれた環境と一体と考える。
だから、住んでいる土地の産物(現代では、できるだけ、日本産のもの)をとれる時期(旬)に食べれば、環境に調和して、身体のバランスが整っていく。

さらに効果をあげるには、「陰陽」という理論がある。
これは、簡単に言うと、環境と調和する「バランス」をとる方法。人間は、バランスがとれていてはじめて健康でいられる。折角良いものを食べていてもバランスを欠いていては、やっぱり不健康になってしまう。

そのために、調理法、味付け、食べ物の性質、自分の体質と相談しながら、「陰陽」を見極めて、バラエティのある食事にすることが大事とされる。
しかし、この「陰陽」、ちょっととっつきにくいところもある。
そこでマクロビオティックを簡単に始めるために、「マクロビオティック標準食」という考え方と、簡単なバランスのコツを紹介します。

これであなたも今日からマクロビオティック・ライフ


■「マクロビオティック標準食」という考え方

マクロビオティック標準食」とは、マクロビオティックの考え方を元に編み出された、多くの人にとって理想的な食事のバランス。このパーセンテージを元に食事を考えると、不足しがちな栄養素も上手に摂ることができ、複雑な陰陽を知らなくても、比較的バランスのよい食事がとれます。

と、いっても、これ、別にむずかしいことじゃなくて、ごはんとおかずを区別していただき、お味噌汁をつける、日本の昔ながらの知恵「一汁一菜」を、具体的にあらわしたもの。
(これは、久司道夫氏が、アメリカでマクロビオティックを普及させるときに、提唱したもの)。

さて、それは…
☆全粒穀物 40~60%
☆野菜 20~30%
☆豆・豆製品、海草 5~10%
☆スープ 5~10%

(動物性食品を取る場合 5~10% 動物性を摂るなら脂身の少ない白身魚がベスト)
その他:ごましおなどのふりかけ、漬物なども適宜。


・・・という割合のお食事。
スープを摂るのは体液に近い液体を食事中に摂ることで消化を助けるため。お茶などの水分を摂ると、胃液が薄まって、消化によくないので、食事中はスープで口を潤すといい。
動物性食品は、体に負担をかけやすいから、ひかえめに。
月に1、2回もとれば、十分といわれている。でも、ムリせず、徐々に少なくしていけばOKです。
それから、このバランスは、毎食毎食守るものでなく、1日トータルでこうなればOK!というものなので、そのへんも考慮していきましょう。


■簡単にバランスをとるポイント

ここで、さらにもう1歩、簡単にバランスをとるポイントを4点、お教えします。

1.野菜の形で考える。

「根菜」「地面近くにできる丸い野菜」(キャベツやたまねぎ、かぼちゃ)「葉物野菜」をバランスよくいただくと良いです。
野菜はもちろん旬のものを!
根菜は体をあたためる。葉物は体をクールダウンさせてくれます。
丸い野菜はその中間くらい。だから寒い季節は根菜を多めに、暑い季節は葉物を多めにするといい感じです。

ただし、もともと熱帯原産のいも類(いも類は地下茎で、根菜ではありません)・なす・トマト類は体を冷やしやすいから、ひかえめに。使うときは、煮炊き時間を長くしましょう。

2.調理時間に長短をつけてみる。
煮込んだもの、さっと蒸したもの、ゆでたもの、漬物、などなど。長時間加熱したもののほうが、体をあたためてくれるため、寒い季節には煮込んだもの、暑い季節にはさっとゆでたものなどを中心にします。

3.野菜の甘味をいただくようにする。
8割を野菜の甘み、あとはシンプルな調味料で甘味をひきたてることを心がけること。
野菜の甘みがおいしくなってくると、どんどん体の調子が良くなってきます。
それに、せっかくのよいお野菜をすっかりしょうゆ味やみそ味にしちゃったらもったいないですよね。
こつは、味付けを最後にすること。
たまねぎ、キャベツなどの甘くて味の濃いお野菜を上手に使うこと。
野菜に熱を少し加えてから、ひとつまみ、自然塩をふってあげると、野菜から甘味が引き出されます。
もちろん、ムリは禁物。いちばん大事なのは、自分がおいしいと思えることです。

4.玄米ごはんを食べる。
他のおかずのバランスを整えて、よく噛んで食べるとか、雑穀入りご飯にしてみるとか、 それでも、体はだんだん健康になっていきます。 そして、全粒パスタや全粒パンだって取り入れて、バラエティある食卓を楽しむのも良いでしょう。

でも、食事の中心を玄米にすると、やっぱり、体が整っていくスピードが全然違います。

玄米には、本当に健康的な和食のおかずが合う。食事を変えるのが苦にならなくなる。玄米がおいしく炊けて、おいしく食べられるようになったら、しめたもの。

玄米のおいしい炊き方については、こちらを参考にしてください。