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仁多米の有機農業の先駆者 佐藤順一さんグループのお米


奥出雲町で約20年間、お米の有機農業に取り組む「マザーシップ」というグループがあります。
その中心になっているのが佐藤順一さんです。

佐藤さんは、1985年ごろ、内臓を悪くされ、血尿が出て微熱が続く状態だったそうです。
そんなとき、「マクロビオティック」の世界的権威である久司道夫氏の妻、偕子夫人が地元である奥出雲町(当時の横田町)で講演を聞きました。
佐藤さんは、すっかり感銘を受けられ、すぐにアメリカ行きを決意。

アメリカでは久司道夫氏から10日間マンツーマンで直々に講義を受け、体調不良もマクロビオティック料理ですぐに改善しました。帰国後は無農薬農業を推進し、グループ作りをしたり、外国から研修生を招いたり、マクロビオティックの権威の先生を招いたり、積極的にさまざまな活動をされました。その間4年間にわたり、久司夫妻は世界中から延べ300人余りのマクロビアンを横田に連れて来られ、田植えや稲刈りなどの米作りを行い、また町民との交流も深めました。この時横田を訪れた多くの方が現在KIIやKIJのインストラクタとして活躍されています。彼の名前は、久司偕子夫人の自叙伝にも登場します。

周囲を省みず、精力的にマクロビオティックを推進していた佐藤さんに、やがて転機が訪れます。
それはお子さんの病気でした。

当時4歳ほどだったお子さんが白血病に倒れてしまったのです。
佐藤さんはそれを現代医学に頼らず、マクロビオティックで治そうとしました。
しかし一向に改善しませんでした。

難病ということで治療費も免除され、担当のお医者さんも大変に手を尽くしてくれている中、
佐藤さんは、自分の執着心が、お子さんの命運の前に立ちはだかっている大きな壁であることをさとります。

その瞬間から、お子さんの病気は回復に向かいはじめました。
お子さんはその後、何事もなく、元気に育っています。

佐藤さんの積極的な活動により、奥出雲町にうまれたお米の有機農業のグループは、
コダワリなく、今そこにある自然を信じる農業を目指しながら
その後ゆるやかに地に足を付けた活動を続けています。


(佐藤さんと奥さんです)

★米作りで大変なことは何ですか?

何が大変かといえば、除草です。
草の中で米が育つような米作りが3~4年続きました。その草もたった一握りの除草剤をまくと、
10アール(300坪)面積に1本も見られなくなるんです。まさに超猛毒ですよね。

★そんな大変な思いをして有機農業に取り組まれているわけは?

除草剤を使えば、作業はとてもラクになりますが、土や水は、失神してしまうでしょう。
一時的に、死んだも同然、まさに、不調和です。

不調和での米作りは、自然をそのまま届けることにならないと気づき、
消費者の方とも満足や安心を共に感じられる一体感が欲しくて、
化学肥料や農薬はやめることにしました。

わたしは、家族で取り組む農業が誰かのためとか子供達の未来のためとは思って
やっていません。農業は、自然や命が最も身近に感じられ、深い安らぎが得られるから
やっています。

★具体的にはどのように栽培されていますか?
まず、除草対策に使用されているという、紙マルチ農法について教えてください。

はい、除草対策には、再生紙の紙マルチ(土にかぶせる物のこと。日光を防ぎ、草が生えなくなる)を敷いています。
再生紙の紙を田植え機でしきながら同時に田植えをする乗用田植え機(三菱農機と共同開発した紙マルチ田植え機)で田植えをします。
紙は、100メートル巻き160cm幅と、125メートル巻180cm幅があり、50日ほどで溶けます。田植えから40~50日ほど除草期間があれば、後は稲が大きく育っていますので、除草の心配はありません。そのため、除草剤は必要ありません。

しかも、この農法は、兼業農家でもできますので、有機無農薬栽培は専業農家でなければできないということもないのです。

田植え機は、5条植えと6条植えがあり、両方とも紙を3本セットできます。紙は300坪(10アール)あたり約2万円かかります。また、田植え機も普通の田植え機の2倍の価格です。田植えのスピードも普通のものに比べて3倍近くかかり、そのため、慣行農法のものより、お値段が高くなっています。

★堆肥やボカシはどんなものを使っていますか?

堆肥は、牛糞・鶏糞・舞茸の菌床の廃床・米ぬかなどを混ぜたものを、エアレーション(空気を送れる)できる槽で、20トンを1単位として作ります。1週間ごとに切り返し、温度を80℃以上、湿度60%くらいを保ち、10週間くらいで出来上がります。
使うのは、4ヶ月置いたものを使います。

ボカシは、米ぬか、油粕、骨粉、赤土発酵、発酵豚糞、難糞、黒砂糖、焼酎などを混ぜ、これも1週間ごとに切り返し、2~3ヶ月発酵されたものを使用します。

10アール当たり、160kg~200kgです。

★化学肥料に比べたら、随分と手間がかかるものですね!
今、グループのお仲間はどのくらいいらっしゃいますか?

現在仲間20名くらい、面積は10ヘクタール弱で取り組んでいます。

★島根県の環境保全型農業推進コンクールの優良事例に選ばれたそうですが?

はい、島根県ではいち早く無農薬、環境保全を目指した農業に取り組み、高い評価を受けました。
県のモデルケースとなっているんですよ。

★佐藤さんにとって、農業のコツとは?

農業は、愛がなければできません。命を知っていなければ米は育ちません。
自然はわたしの意識をうつして見せてくれます。米作りをするとき、積み上げてきた経験を披露すると、
それなりの新しい課題をもたらしてくれます。
その課題への挑戦が農業の面白さだと思い込んでいました。
しかしそうではなかったのです。
自然は、一瞬一瞬をうつします。ひと時もその流れはとまりません。一つとして同じものは存在しません。
とどまることもなければ失うこともありません。ただ存在するのです。そこに今あるのが自然です。

最近、米や野菜を育てるコツがわかりました。
それは、判断をせず、見えない命がすべてを生かしていることを信じること、農業の面白さや本当の醍醐味を味わうには、いつも初めての気持ちで接することだと気づいたのです。

万物を生かす命は、過去や未来でなく、今を生かしています。「良い」「悪い」はその中には全くありません。
人間だけがそう思っているのです。携わる人以上の米ができないのは、そこに判断があるからです。
それをしなければ、命は米を通して命しか現しませんから、食卓には米を現している命が届くに違いないと思ったのです。
命とは安心のことです。そして、安心とは満足のことです。お米は、安心や満足が形になったものだと思えてきました。そして、その心こそが、米が育つのにこれ以上ない肥やしであると気づきました。